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ゆずの木

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  名戸ヶ谷(などがや)村は、むかしから、ゆずの木は植えてはならぬと、いわれていました。それには、こんな話が伝えられています。
  ゆずの木は小高い丘にありました。村のどこからでも、たわわにみのった黄色いゆずの実が見えました。
  ゆずの木は、村のどの家のものでもありません。むかしから村のゆずの木として大事に育てられてきました。実がうれると子どもたちがもぎとりにきます。高いところの実は大人たちがとります。取り残された実が秋の終わるころにも見えることがあります。
  ある朝、ゆうはたった一つ残ったゆずの実をとりに、丘にのぼりました。ゆず餅をたべたいという弟にせがまれたからです。
  木は大きく枝を広げていました。下から見るとどの枝についているのかわかりません。ゆうは着物のすそをからげて木にのぼりました。太い枝にからだをあずけながら、そろそろと実のついた枝に手をのばしました。
  その時、左手にもった枝が急にたわみ、右の枝がいきなりゆうの顔にピシリとあたりました。枝にはトゲがありました。ゆうの目から血がにじんできました。
  家にかえり布で目を冷やしましたが、いたみはますます大きくなるばかりです。いく日か経つと、熱やいたみはとれましたが、左の目はとうとう見えなくなりました。
  村の人たちは、ゆずの木のために目をいためた娘をあわれに思い、丘の上のゆずの木を切りたおしました。それからは、この村ではどの家でも、ゆずの木は一本も植えることはしなくなりました。
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このお話の舞台

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