胤吉を追いかけ「芦椛(ろか)橋(その後の矢の橋)」までたどり着いたとき、村雨丸は重い病にかかっていました。
村雨丸は、守り神の如意輪観音の像をまくらもとにおき、父のかたきうちを願いつづけると、観音さまが夢の中にあらわれ、「腹の中に私を納めた聖徳太子像を作ってまつりなさい。そうすれば願いはかなうだろう。」また「人々に拝ませなさい、商売の神となりましょう。」とつげました。
おつげにしたがい、残りの気力をふりしぼり太子像を作りあげて気を失ってしまいました。
そこに、武士の一団がとおりかかり、倒れた若者に武将が声をかけました。
声をかけた武将はなんと、村雨丸が捜し求めていた胤吉だったのです。
胤吉は村雨丸からこれまでの事情を聞くと、「我こそ御身の父御を討った胤吉だ。一太刀討って父に手向けよ。」と言いました。
これを聞いた村雨丸は目に涙を浮かべ「私の願いは神に通じました。そして今あなたのお言葉を聞き、恨みも消えました。
私の命ももうこれまでです。」と笑って橋の下の金山落しに飛び込んでしまったのです。
それを見た胤吉は「我も同道せん」といって川に飛び込もうとしましたが家来の者に止められました。村雨丸が遺した守り袋には「平貞盛末葉」と書かれていました。