むかしむかし、増尾(ますお)村でたくさんの病人が出たことがありました。
「うちのおっかぁは腰が痛くて畑仕事が出来なくなっちまった」
「うちの爺さまは寝込んだまま、起き上がることも出来ねぇだよ」
その頃のお百姓さんは家族総出で畑仕事をする慣わしになっていました。そのため、家に病人が出ると働き手が減ってしまって、それはそれは大変なことだったのです。
村の長老が言いました。
「これはきっと厄病神(やくびょうがみ)の仕業だべ。村から厄病神を追い出すために鎮守(ちんじゅ)さまの神輿を出して村中を練り歩こう」