どれだけ時間が経ったでしょう。楽しく踊り終わって、いよいよ手賀村へ戻ることになりました。
船着き場から、孫六は枯竹竿、弥平は真新しい青竹竿を操って農舟をこぎだし、沼(かわ)中まで来たときのことです。
それまで あんなにきれいな月が水面を照らしていたのに、急に真っ黒な雲が空を覆い、雨が降り始めました。
すると先に行く孫六の船竿の先端に青白く強い光の火の玉がとりつきました。
孫六はそれを一生懸命とり払おうと、必死で竿を舟にたたきつけたのです。
その音を聞いた弥平が見ると火の玉は砕けて水面で光り、なおも新しい火の玉と孫六がたたかっています。
そのうち、弥平の竿先にも火の玉がつきました。
竿先を水面で何度もたたき、運よく火の玉が消えたので弥平は必死の思いで 舟を手賀のかわばたにつけて一目散に家へ帰り、布団の中に潜り込んでしまいました。