目を覚ましたとたん、爺さまはびっくりした。
なんと目の前によ、山のようにごぼうが積まれておっただ。
そして、そのごぼうの山から1匹の猿が顔を出し、
「爺さま、この通りごぼうを全部掘ってやったぞ。爺さまはさっき、犬でも猿でも手伝ってくれたら娘をくれてやると言ったよな。約束だから娘をくれ。」
「約束通り娘をくれたら、娘のことは一生大事にする。でも約束を守らなければ仲間を呼んで、もうこの畑ではごぼうが取れねえようにするぞ。」と言っただ。
爺さまは真っ青になってよ「あんなこと言わなきゃよかった」と後悔したけんどもう後の祭りだ。
「わかった、わかった。約束通り娘をやっから、今日のばんげの後に娘を迎えに来てくんろ。」と言って、逃げるように家さ帰ったと。
「家に帰った爺さまは、まず長女を呼んで理由(わけ)を話しただ。
長女は「猿の嫁なんて、まっぴらごめんだ」と怒って行ってしもうた。次に次女を呼んで話したが「猿の婿さまなんて、とんでもねぇ」と言って話しにならねぇ。
困り果てた爺さまが最後に三女を呼んだら「わけはわかりました。誰かが嫁に行かなければならねぇんだべ。ならおれが行くよ。」
爺さまは、ありがたいやら悲しいやら「すまねえな、すまねえな」と繰り返すばかりだったと。
今宵が最後のばんげ。ありったけのご馳走をふるまったそうだ。
夜も更ける頃、猿が娘を迎えにきたんだ。
「さぁ娘をもらいに来たぞ。嫁っこ、おらのうちさ一緒に行くべぇ」
猿はそう言って、三女の手をひき、家を出て行っただ。