昔な、泉村に「おかん婆さん」と呼ばれたばあ様がおっただ。
なんでも、寛文年間、紀州は塩津浦の生まれらしいが、いつの頃からか泉村に住みつくようになっただ。
このおかん婆さん、なぜか泉村の村人の機嫌を損ねてな、「おかんばばあ」とののしられてよ、ずいぶんと意地悪もされていたらしい。けんど隣村の鷲野谷の村人からは、いつも優しくされていたんだと。
その、おかん婆さんが亡くなるときのこんだ。「泉村のもんが倉を建てたら、皆んな燃やしてやる!」と呪いの言葉を残したそうだ。最初は誰も信じなかったけんど、誰かが倉を建てっと燃えてしまうだと。その次も、またその次も。次第に皆んなおそろしくなってよ、「これはおかん婆さんのたたりにちげえねえ」と。