二頭の馬は、夜の明けるまで畑の作物を食い荒らし、走り回り、はね回っておりました。そして、空が白みはじめると、弁天様の方へ向かって帰りはじめました。
大ぜいで後をつけました。何回も何回もお百姓さんたちは、その馬の姿を見失いましたが、ついに弁天様のそば近くで見はっていたお百姓さんが、その不思議な光景を見てしまったのです。急に体が小さくなりはじめ、空中を走る馬の姿を・・・・・・。そしてその馬が、弁天様の本堂にかかげてある額の中に入っていくのを・・・・・・。
驚いたお百姓さんたちは、おそるおそる額の絵を見ました。するとどうでしょう、馬の体から朝つゆがにじみでているではありませんか。
それを聞いた弁天様の住職さんは、さっそく本堂にある額の絵馬がぬけ出せないようにと、その二頭の絵馬の目をぬりつぶしてしまいました。それからというものは、農作物の被害もなくなり、お百姓さんたちは、たいそう喜んだということです。
今でも、布施の弁天様の本堂には絵馬がありますが、右側にはおとなしい馬、左側には暴れ馬が描かれています。この二頭の馬に目がないのは、そのためだと言い伝えられています。