「今年は妙見菩薩のおかげで、なにごともなく過ごせたものな。」
「おれたちが、この祭りをするのも、ご先祖様が、相馬氏とかかわりをもっているからだそうだよ。」
「それに、増尾には、馬に縁のある家号が多いよな。」
「おれの家は『 馬洗戸(まれいど)』というが、なんでも、お殿様の馬を家の裏の川で洗ったからっていう話だ。」
「ところで、『 修(しゅうじ)』っていう屋号は、なんだろう。」
「なんでも『馬洗戸』への行き帰りの馬が集合したところって話だ。」
「喜平さんとこは、馬を訓練していたので『馬場(ばんば)』というらしいよ。」
「それに『根古屋(ねごや)』という屋号がある。あれは、馬の世話をした人や馬が寝たところだという話だ。」
「ここの少林寺には、相馬さまのご先祖の霊がおまつりしてあるそうだよ。『館(やかた)』という家も、むかしこの辺にあったというし・・・。」
「いまでも相馬さまは”野馬追い”という妙見菩薩の祭りをやっているそうだよ。」
「ご先祖の平将門様がやっていたことを続けているんだよな。」
「そうすっと、このあたりは相馬さま直属の家来ってわけか・・・・。」
「そんなものらしい。」
「昔だったら、もっといばって歩けたってわけか。」
「ちげえねえ・・・・。」
妙見堂の屋台からは、たいこの音がきこえはじめました。