2・3日たった朝、むっくりと起き出したでいだらぼっちは、布施(ふせ)の弁天さまの方をじっと見つめて、
「おらは、この村が好きだ。この村の子どもは大好きだ。」
と、つぶやくと、弁天さまを目がけてゆっくりと歩き出しました。不思議なことに、でいだらぼっちはずんずん大きくなっていくのです。しまいには頭が雲の上に出てしまいました。毛むじゃらな2本の足だけが、のっし、のっし、と動き、そのたびに地面がゆれていきます。そして、とうとう布施の弁天さまをひとまたぎしてしまいました。
とたん、空は黒雲におおわれ、大つぶの雨が降り出しました。稲は生き返りました。人々は、おもいおもいのかっこうで、降りしきる雨の中を踊り狂いました。その中に、でいだらぼっちの姿はありませんでした。その後もでいだらぼっちを見た人はありませんでした。仲よしだった子どもの話では、そのまま利根川をまたぎ、筑波山の方へ歩いていったということです。
ひとまたぎした時の、左足の跡があけぼの山公園下に、そして右足の跡が、宿連寺(しゅくれんじ)の天王さま近くに今でも残っています。
でいだらぼっちの足跡は、逆井(さかさい)にも酒井根(さかいね)にも、高田(たかだ)にもあります。