そんな弁栄上人が、越後の国(新潟県)のお寺から呼ばれ説法に訪れていた時のこと。
弁栄上人の有難い説法が聴けるということで、爺様も婆様も若者も皆んな集まってきました。その中に色白で年の頃なら18~19歳の若い娘がおりました。
この娘、「上人様のご説法は本当に有難え。おら、明日も聴きにこよう。」と次の日も、そのまた次の日も説法を聴きにきました。
そんな娘を見たくて、男衆も集まり、それが気がかりで仕方がない女房衆も集まりました。おかげでいつも大賑わいです。ところが、その娘が帰ったあとは、かならずその場所がじっとり濡れています。
それを聞いた弁栄上人は
「この寺の近くの古池に住む大蛇の化身に違いない。おおかた、飲み込む村人を探していたのじゃろう」と、その娘がいつも座る畳の裏に経文をびっしりとお書きになりました。
その晩もたくさんの人が集まりました。いつものようにあの若い娘も。
それを見た上人様は娘を「ここに座りなさい」と裏に経文をびっしり書いた畳へ座らせました。するとどうでしょう!暑くもないのに娘は大汗をかきはじめ、そのうちに正体を現し白いウロコをボロボロ落としながら沼の方へ逃げていきました。
その後、その娘も白い大蛇も二度と現れることはなかったそうです。
(鷲野谷 医王寺)