いまの土小学校の裏手に、シーという人がおっただ。名前はなんだったかな、とにかく村の衆は名前で呼ばずにシーと呼んでおった。シーは百姓仕事はやらねぇ。見世物小屋を開いたり、あとは三度の飯より大好きなバクチをしとったな。
バクチぶち(博奕打ち)同士のけんかで、他の子分衆といっしょに、なぐり込みに行くことになった日のこんだ。その日の夜、親分の家の庭に、子分たちがぞろぞろと集まっただよ。
庭で火をたいてよ、そん中にイモを入れて焼くだよ。そいでな、焼けたいも一本を、両方から二人がくわえて、パクパクと食ってゆくだ。これがこのあたりのバクチぶちの決死の覚悟を表わすならわしだな。酒なんぞ飲んだ日にゃあ酔っぱらちまって喧嘩にならねぇからな。